全ての優しきジョバンニへ

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昨日のこと、科学館で上映されているKAGAYAさん制作の
銀河鉄道の夜のミュージックビデオを見に行って来た。

平日の昼間なのに結構人がいたので、みんな宮沢賢治が好きなのか
もしくは文豪ストレイドッグスが好きできているのかもしれない。
最初に学芸員さんから作中に出てくる星座と星の解説があった。

会場が真っ暗になって星がふわっと目の前に浮かび上がる。
なんだか宇宙に佇んでいるような心地。
思わず感動で泣きそうになってしまった。
いつか行きたい場所に夜の海上を思い描いていたんだけれど
まさにその風景に近いものが目の前に現れた気がしたよ。
多分、死んだら同じ風景を見ると思うよ。

学芸員さんの説明を10分ほど聞いて
本編が始まったのだけれど、
やっぱり実力のあるイラストレーターさんが作製しているだけあった
すごい臨場感。この世界に入っていきたい、そしてこの世界で死にたいと思ってしまった。

銀河鉄道の夜の主人公の男の子ジョバンニは
お父さんが北の海に出稼ぎに行っており
家には病気のお母さんがいる。
ジョバンニはお父さんの仕事(ラッコ猟)のことでクラスメートから
いじめられて唯一の友達はカンパネルラしかいないという
非常に孤独な少年である。

このジョバンニの姿に自分の姿が重なった。
帰ってこない父親、病気の母親、そして頼る相手も助けてくれる人もいない
それでも弱音を吐かずただ耐え、涙さえ押し殺して生きている自分。
ジョバンニは私だったよ。

途中で蠍座のアンタレスの話がでてくるんだけれど
物語の中でサソリがイタチから逃げて井戸に落ちて
後悔している下りがある。
「なんで自分はイタチに食べられてやらなかったんだろう?
そうすればイタチは一日生き延びられたのに。
今まで幾度となく私は虫たちの命を奪ってきたというのに。」

この自分が犠牲にならないで後悔するという下り。
宮沢賢治の作品全てに共通している。
一番色濃く出てるのがよだかの星だと思う。
グスコーブドリの伝記も同じで主人公は自分を犠牲にして
多くの人を助ける。

宮沢賢治の青春期におそらく彼にとって
辛い経験があっただろうと思う。
学校でのいじめや失恋、容姿に関しても
多少のコンプレックスはあったように思う。
その理由を誰かのせいにして生きるのは結構簡単だが
それを自分の中で飲み込んで愚痴一つ言わないで生きる人は
本当に苦しい人生を送ることになろう。
この優しさこそが自分を傷つける仇となるし
追い込むことになる。でもおそらくその優しさを捨てることは
できないと思う。それを否定したら自分を否定することになるだろう。
宮沢賢治の優しさは=ジョバンニであり、今でも優しき心のゆえ
傷つき涙し、その嗚咽さえ漏らすことができない多くの現代のジョバンニたちが
一生懸命に生きている。私はそんなジョバンニたちにこれからも
その優しさを捨ててほしくないと思うし、それを弱さだと思わないでほしいと思う。

今回、改めて銀河鉄道の夜を見返して
そんなことを思ったのだった。

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