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三途の川高校 


三途の川高校

はじまり1
川の先には町が見えている
その川を一生懸命を泳いでいる
一人の少年がいる。

「戻らなきゃ…早く…」
「うっ!」
水面に顔をだしていた少年は
足の痛みに耐えかねて水面に顔を沈める

顔を沈めた水中の川の底に
病院のベッドに横たわって
包帯で全身をぐるぐる巻きにされた少年の
姿が目に飛び込んでくる。

一瞬、少年は目を見開く
「あれは…誰だ?」

そのとたんに川の水が彼の体を
元いた場所に戻し始める。
水はまるで人の手のように彼の体にからみついて
彼を岸へ押し戻す。

またあそこに戻るのか

彼が引き戻された岸の近くに
学校がたっている。

三途の川高校 起2
ここは三途の川高校
死んだ子供はここで過ごす49日の間
転生するために転数を貯める
高ければ人間、低ければ虫や魚
に生まれ変わる

ここは天国ではない
地獄のほとりにある高校だ

三途の川高校の校庭
生徒の前に立たされる少年
閻魔大王の姿が蜃気楼のように写っている
鬼の理事長
「如月ユウキ!自分のしでかしたことがどれほど
罪深いのかわからぬか?
閻魔大王様に拾われなければ
今頃お前は賽の河原でさまよっていたのかも
しれないのだぞ!」
ユウキは黙っている。
閻魔大王「ユウキよ、一つ質問をしよう。
お前の目の前で人が溺れているとしよう
お前は木の板に捕まっているがその人が
お前の板に手をかけてきた…板は2人捕まれば沈む…
お前ならどうするかね…」
「俺なら…俺なら相手の手を押しのける…」
その応えに生徒たちがざわついた。
「ひでぇ」「人間かよそれでも」
理事長
「そんなことだから川を越えられぬのだ
申し訳ありません、大王様。上条よ模範解答を!」
「はい、大王様。私ならきっと自分の板を相手に差し出します。
自分を犠牲にしてでも相手を助けるのは人として当然です」
閻魔大王は上条をみてニヤリと笑った。
「ははははは」
理事長
「わかったか如月ユウキ」
ユウキは下を向いたまま

三途の川高校 承1
校舎に向かう途中で上条とすれ違う
「ちぇっ加点もなしかよ、馬鹿を助けるなんて閻魔も腐ってやがる」
「そうですよ、上条さんの答えは誉められてしかるべきですよ」
「礼ぐらい言えよ如月」
上条はユウキの胸ぐらをつかんで壁にたたきつける
「助けてなんて頼んでない…。」
「お前人間に生まれ変わりたいんだろ?」
「人間になんて興味ない。」
「せいぜい虫けらにでも生まれ変われよ屑 能なし」

今頃、俺は一ヶ月後のサッカーの全国大会に向けて
練習しているはずだった。
あの事故さえなければ。
トラックにはねられる映像

寮の一室
小関がベッドに横たわるユウキに声をかける
「僕は君は間違ってないと思う…僕も同じように応えたと思う」
「僕は1白血病で17年のうちに学校なんて数えるほどしか
言ったことないんだ。みんな、可愛そうって簡単に言うけどさ
誰も代わってはくれない。僕も同じ立場ならきっとそうする。
僕は弱いから…。心も体も」

お前、小関だったっけ。
うん。

俺なら、病室で十何年も
磔にされたら自殺する。
強いんだな小関は…

うううう
!?
どうした
今まで強いって言われたことないから
うれしくて
おいおい大丈夫か…

ユウキは小関のところへ行き
背中をさすってやる
ユウキくん、友達になってもいい
え。いいよ・お前、なんだか俺の友達に少し似てるよ
ほんとに!
やった、君が初めての友達だよ。
一緒に人間に生まれ変わろうね
絶対、絶対だよ。

三途の川高校 承2
鬼たちは生徒たちを
馬車で針の山に運ぶ

針の山は頂上をのぞいて針がつきだしており
その間を縫って頂上を目指さねばならない

鬼の教官の一人が
棍棒を持って地面をズシンとならして
説明する

今日の授業は地獄の針山登りだ
日の入りまでに上れない奴はここに置いていく
登り切った順番で転数を加点する!

上条は一方方向を指さして
ここから上った方が
早く上れる、さっき鬼が教えてくれた
え、本当

さ、みんな先に行け

上条はアカネにも手を伸ばす

しかし、アカネはその誘いを断った

あなたの名前ネットで見たことあるわ
外では有名進学校に通う優等生
でも家の中じゃ両親に暴力をふるう
まるで鬼…殺されても仕方ないわね

う、うるさい
あの女…殺してやる…

小関、ユウキは2人で針の山を上っていく
おーい小関頑張れよ
も、もうだめだよ僕は

すると彼らの隣を
アカネが上っていく

それをユウキはじっとみていた。
すると小関も登り始めた。
僕もガンバらなきゃーっ

すると頂上に上条の姿がある。
鬼が石を持っている。
やれ、という合図とともに鬼が
石を投げる
転がった石は針の山を登っている
生徒たちにぶつかって生徒たちは落ちていく。

同じ頃アカネの上にも石が転がってくる
落ちるときにアカネはユウキの服のすそを引っ張っていく
ユウキくん!

砂煙の中で、数名の生徒が針に刺さり
身動きがとれなくなっている

助けて、ねえ、助けてよ
と助けを求めているが
他の生徒たちにその余裕はない

いったーい
といって足を押さえている

ユウキはアカネに近寄って
手をさしのべる、大丈夫か
その手をはねのけるアカネ

ほっといてよ
どうせ加点ねらいでしょ?
あんたも上条も変わらないわよ
どうしても手を取るって言うなら
私をおぶっていってみなさいよ

きゃ!
ちょっと本当におぶっていく気なの?
そうしろっていったのはお前だろ!
アンタ馬鹿じゃないの!
勝手に言ってろよ。

夕日

頂上には数名の生徒登り切っている
日没が近い
頂上で登り切った生徒の一人は上条に
くってかかった。
上条、お前自分を犠牲にしてでも
相手を助けるっていったじゃないか
ああ
やってることがちがうじゃないか
ではなぜお前は行かないんだ
なぜ他の奴を助けてここまで来なかった
お前らに俺を責められる資格があるか

ユウキくんが
ユウキはアカネの手首の傷をみた
日が沈みそうなところで登り切った
周りの生徒たちはあっけにとられている
小関はユウキのそばに駆け寄る
大丈夫?ああ、大丈夫だ。
四つん這いになっているユウキの視界にアカネの足が
なんだ、おまえ立てるのか
当たり前でしょ死んでるんだから痛い訳ないじゃない
上条はそれを見て舌打ち

三途の川高校 承3
夕方、教室で補修に励む小関とユウキの前に
とつぜんアカネが現れた

補修は分厚いノート一冊分ある。
2人は机を向かい合わせにしている

補修ってこんなたくさんできないよ…
はぁ…
これで転数がもらえるんだから
がんばろうよ
自分の短所を100枚でカケだってさ
そんなのわかんないよ
僕なんて足りるかな…

バサリとドリルを落とす
アカネである。
それ写し終わったら返してね。

後ろを向いて去ろうとするアカネ
あ、そうだついでだから
あなたたちの短所教えてあげる
小関、アンタは卑屈すぎ
もう少し自分を好きになった方がいいわ

如月ユウキあんたは
欲張りね…

ユウキは少しドキッとする
その途端に小田が女性を負ぶっている
姿が浮かんだ
足に痛みが走る。

三途の川高校 承4

俺はあ。小田が嫌いだった。
小田は小学校からの友達で
高校までずっと一緒だった。

俺は推薦であいつは一般受験で
同じ高校のサッカー部に入った。

レギュラーの表が張り出されている
全国大会のメンバー
その中にユウキの名前もあった

帰り道
こんどの大会
プロチームのスカウトもくるらしいな
先に一歩こされちゃったな
俺もがんばってレギュラーにならなきゃ

ユウキは言った
無理だよ
お前には才能がないんだから
とっとと辞めちまえよ

俺はサッカーができないなら死んでもいい
そのために生まれてきたと思ってる
お前は努力したってしょせん凡人
おいつけやしないよ俺に


2人はしばし、無言で道路を歩く
信号で車いすの女性が立ち往生しているのを見て
小田は飛び出していった。

それなら俺は自分にできることを探す

ユウキはそれを黙ってみている

なんであいつは負けを認めないんだ
才能も運もないくせに

ユウキはぐっと拳を握った
拳はふるえている

小田っ、お前俺の前から消えろよ

ユウキ!

そこにトラックが向かってくる

ユウキはそこで目をさます
目が覚めると寮のベッドの上
ひどく汗をかいていた
彼は自分の足をさすった

三途の川高校 承5
同じ頃理事長室
上条は理事長を足で蹴り飛ばした
お、おちつけ上条。

すまんかった、ちゃんと事は順調に
進んでいる。

お前を見てると親父を思い出す
外でヘコヘコ頭を下げるだけが取り柄で
たいした能力もないくせに…

上条の父親は彼が寝ている枕元で
瓶を振り下ろした
父親の体はあざだらけ

上条の蹴りで後ろに吹っ飛ばされる
理事長。

俺は力が欲しい
誰もが恐れおののき
ひれ伏すような力が

やはりな、こいつは業を何十倍
にも増幅できる器だ…逸材だ!
いい作品になる!

三途の川高校 承6
閻魔大王はその様子を鏡から見ていた
迷うもの、苦しむもの、悩むもの、憎むもの
おもしろいのうやはり人間は…

48日目
学校の廊下に人間考査への合格者が張り出されている
小関とユウキは名前があり小関は大喜びしている
ごめんちょっと中庭行ってくる。
なお、この中から人間に転生できるものは
一名のみである!

中庭の泉に移る下界の様子を見ている
ユウキ。
小田が彼の代わりに試合にでている。
あいつがおれの代わりに…

走り去ろうとする時
アカネとすれ違う

悔しそうな顔ね…如月ユウキ

なんとも思ってないよ
あいつはラッキーって思ってるよ
俺が死んで…

本当にそうかしら…
彼は自分の為じゃなく誰かの為に
戦っているような気がするけど

足が痛くなる
あああっっ!
どうしたの、大丈夫?
なんでもない、ほっとけよ
あなたもしかして…

ユウキは走っていく。

それを見ていた小関

上条がその肩にポンと手を置いた
アカネも考査に通ったんだよなぁ
どうする最後くらいいいとこみせたいよな小関
上条君は人間に生まれ変わるんじゃないの?
俺は人間に興味はない…
明日の朝、ユウキを寮の物置部屋の前に呼べ

三途の川高校 転1
49日目の朝
馬車に生徒たちがつめられていく
ユウキの姿がないことにアカネは
小関に訪ねる

し、しらない
嘘よ同じ部屋でしょ
探しに行かなきゃ

行く必要ないよ
ほっておけばいいよ

おおい小関くん行こうよと上条

あんた上条に何言われたの?
…き、君の為なんだよ
僕は…

馬鹿!

アカネは校舎に戻り
道具箱に閉じこめられていた
ユウキを見つけだした。

今ならまだ間に合う。

いかねーよ

俺が今までどれだけ努力してきたと
思ってるんだ。また最初から生きなおすなんて
できないよ

じゃあ、元の体に戻りなさいよ
あなたまだ死んでないんでしょ

元の体に戻っても…
もう俺の足は動かないんだ
サッカーできない俺なんて
なんの価値もない…死んでんのと同じだ

足が動いたってあんたは
プロになんかなれないわよ。
この死に損ない!

自殺したくせに!

死ぬ勇気もないくせに!

どうしたらいいんだ…
俺は…失うのが怖い…

探すのよ今の自分にできること
あなたは答えをもう知ってる

私はアンタや小関に出会えて
こういう人間もいるんだって思った。
でももう私には戻る体がない
初めて死んで悔しいと思った。

アカネおまえ、体が…

アカネの体は透明になりはじめている

いいのよ、これで
私は行くべき場所にいけるの
これ、私の受験票…使って…
ありがとうユウキ君
あの時助けてくれて

ユウキは受験票を持って
走り出した。

人間に生まれなくちゃ意味がないんだ
このまま消えてなくなるなんてごめんだ
この足が動くうちに今自分にできることをしなきゃ

三途の川高校 転2
馬車につれられた少年少女たちは
渓谷にある闘技場につれてこられた
闘技場は崖の上にあり石橋をわたって会場に入る

会場に集まった少年少女たちに鬼たちから
剣が配られる。
観覧席には閻魔大王が陣取って様子を見ている。

その剣はお前等の転数に比例
している、
上条の剣は一段と長い。
小関のは短刀くらいの長さしかない。

さあその剣で最後の一人になるまで
戦うのだ、倒した相手の剣はそのまま
自分の剣の長さになる。

それでははじめーっ
銅鑼の音

小関は上条の後ろに隠れるように指示される
あ、ありがとう。
お前は一番弱いからな。
生徒たちが上条を取り囲んだ。

お前、前に言ったよな
他人を見殺しにしても
自分に罪はないって…

ああ。

今ここで俺たちのために消えても
文句ないよな?

お前はこの剣の正体がいったい何か
知っているか?人の欲望、すなわち業だ。
上条は持っていた剣を自分に刺した。
それが飲み込まれていく。
さ、どうした刺して見ろよ知ってるぞ
お前等が俺を心からに憎んでることぐらい。

う、うわー
といって数名の生徒が上条に
剣を突き刺すがその剣はするすると
彼の体に飲み込まれていく。

大きな腕がにゅっと延びたと思うと
生徒の一人をつかみパクりと人のみした。
上条の姿はもう人ではない
鬼の姿となっていた。

理事長とその他の鬼たちは喜んでいる。
やったーははは俺たちの仲間の誕生だー

いかがですか閻魔大王様!
立派な鬼でございましょう!
私の自信作でございますよ
ははは

上条はその理事長を食べ出した
どんどん大きくなってる。

そして巨大化した上条は
暴走しはじめる。観客たちは逃げ出す。
業に支配されもう理性もない上条

小関は闘技場の下でうずくまっていたが
鬼に発見される
鬼の手が小関に襲いかかる
めをつむる小関

しかし手の中にもう小関はいない
間一髪のところでユウキは
小関を助けた。

小関は泣きながら
ユウキ君…どうして…?
アカネが助けてくれたんだ。

鬼は2人の姿が目にはいると
追いかけてくる

逃げろ!

小関は泣きながら
ユウキに謝っている
ごめんよ、ごめんよ

そんなことはいいから早く走れ

2人がちょうど競技場と崖を結ぶ
石橋の上にさしかかったとき
上条の重さに耐えかねた石橋は
崩れていった。

石橋が落ち
ぎりぎりのところで
足の痛みを感じた
ユウキはスピードダウンした
ぱっと小関がユウキの手をつかむ
ユウキは宙ぶらりんの状態である。

小関は持ち上げられないようである。
がんばれ小関!
だ、だめだ僕の腕じゃ…
負けを認めるな
でも
お前は強い人間だ

すると川から鬼と化した上条が
最後の力を振り絞って
飛び上がってくる。

もう自分に言い訳しない
弱さを盾にしたりしない
僕は自分に勝たなきゃ行けない

小関はユウキを引き上げた
上条はそのまま三途の川に落ちていって
あがってくることはなかった

2人は抱き合って喜んでいる
やったな小関、
お前やればできるじゃんか
うん、

ゴホン、
喜ぶのはいいが
人間になれるのは一人だけだぞ…


ユウキ君僕…
小関、お前人間になれ。
え。
俺、自分の体に戻る

三途の川高校 結1

川辺についた閻魔大王と小関、ユウキ
閻魔大王は優しくほほえんで
「行くがよい、少年よ」といって
持っていた勺で川の向こう側にある町をさした。

ユウキは川に近づけばちかづいていくほど
足の痛みが強くなるのを感じた。
途中で全く動けなくなった。

見かねた小関が彼に走り寄ろうとするが
閻魔大王はそれを制止した。
「ユウキくん!
僕、君の足になりに行くから!絶対に君に会いに行くから」
それを聞いてユウキは動かない足を引きずって
川に入っていく。
ユウキは笑った。そして彼は川を渡って
元の自分の体へと戻っていった。

皮の向こうには町並みが見える

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